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2023.03.21 更新

後見人等になったら、金融機関等へ届け出ます。
「成年後見人等に関する届出書」とか「成年後見人等に関する届出書兼利用代理人等設定依頼書」といったタイトルの書式で、後見人等の住所、名前、連絡先を記載します。また、名義人、すなわち、被後見人となった人の住所、名前、生年月日、取り扱う口座情報を記載します。

届け出をすると、金融機関は、システムに情報を入力するので、それ以降、窓口での取引の際には、後見人がついているという情報が浮かび上がってきます。口座の名義も、だれだれ後見人何がし、になります。名義が変わっていることを見て、「後見人に銀行口座をとられた!」と勘違いする人がいますが、所有者はあくまで被後見人本人であり、実務上の便宜から、「だれだれ後見人何がし」という名義にすることが一般的です。

金融機関によって記載すべき内容が微妙に異なります。

例えば、成年後見と任意後見用と、保佐と補助用と書式を分けているところもあれば、一つの書式で対応しているところもあります。
類型によって書式を分けているところでは、「成年後見と任意後見用」には代理権の記載しかありませんが、「保佐と補助用」には、代理権・同意権・取消権と3つの項目が用意されています。

ある証券会社のホームページに、「成年後見制度の届出」という欄があります。銀行と同様に、本人に後見人がついたという届け出をするのですが、そこには、銀行と異なり、取引に制限があることが記載されています。

例えば、「注意」として、「成年後見制度を利用中の方が、○○証券で総合口座をあらたに開設することは出来ません。成年後見人等の届出をされた後は、保有商品の売却と出金は可能ですが、商品の新規買付は出来ません」とあります。

また、「注意事項」として、「成年後見人・保佐人・補助人の届出をされた場合、被後見人の口座には取引制限をかけさせていただきます。新規買付の取引はできません。保有されている商品の売却、解約、出金のみ承ります。また、売却および出金の注文は、原則弊社書面での依頼のみとなります。被後見人が信用取引、先物オプション取引、海外先物取引、商品先物取引、為替証拠金取引等の建玉を持っている場合は、決済のうえ、成年後見等の登録手続を行わせていただきます」とあります。

要するに、新規の取り扱いはなし、既存の商品の処分のみ可能という扱いになっています。これでは、何のために後見人がついたのかわからないという意見もありますが、このような取り扱いをする金融機関があるという実状を理解しておきましょう。