右コントローラから音声案内を聞くことができます
 
2022.03.29 更新

任意後見が終わるのは、以下のときです。
1 家庭裁判所が後見を終わらせたとき
2 後見を頼まれた人が、後見人としての役目を果たせない状態になったとき
3 後見を頼んだ人が亡くなったとき

以下、それぞれについて説明します。

1 家庭裁判所が後見を終わらせたとき

家庭裁判所が後見を終わらせるのは、次のいずれかです。

@ 回復したから
「後見を頼んだ人の判断能力が回復したので、後見は不要になりました。ついては、後見を終了して下さい」と伝えると、家庭裁判所は調査を経て、後見を終わらせます。
伝えるのは、後見を頼んだ人か頼まれた人のいずれかです。
その際に必要なことは、
「本人が回復したことを示す診断書」
「本人が調査官からの質問にテキパキと答えられること」の2つです。

A 法定後見に切り替えたから
任意後見では対応できず、法定後見に切り替えると、任意後見は終わります。
任意後見で対応できなくなるのは、
 ・ 本人が、「したいことがあるが、一人では不安なので援護射撃をして欲しい」ということが多々ある場合
 ・ 本人が、不要な買い物などを行い、それをなかったことにする作業が多々発生する場合
です。このような場合、任意後見制度の代理権だけでは対応できないので、同意権や取消権のある法定後見に切り替えます。

2 後見を頼まれた人が、後見人としての役目を果たせない状態になったとき

後見を頼まれた人が、遠くへ引っ越した、体調を崩した、認知症になった等の場合、後見を続けることはできません。
人を替えればよいと思うかもしれませんが、任意後見は、頼まれた人自身が仕事をするのが大前提なので、人を替えるということは、その任意後見契約が終わることを意味します。
ただ、既に任意後見が始まっているということは、後見を頼んだ人の判断能力が下がっている場合がほとんどなので、法定後見に切り替えることで任意後見を終わらせます。
法定後見を始める手続きをとることができるのは、後見を頼んだ人、後見を頼んだ人の四親等以内の親族、後見を頼まれた人、後見を頼んだ人が住んでいる自治体のいずれかです。

3 後見を頼んだ人が亡くなったとき

後見を頼んだ人が亡くなれば、主役不在になるので、当然、後見は終わります。

亡くなる前に、看取りの仕事があるかもしれません。
その前に、本人への告知作業があるかもしれません。
亡くなってからは、役所への届け出、葬儀の手配や支払い、お墓のこともあるでしょう。
施設や自宅にある遺品の整理もあるかもしれません。

家族であれば、これらのことは普通に行うでしょう。
しかし、任意後見人は契約に基づく「生きている間の代理業」なので、上記の仕事をするためには、任意後見契約とは別に「死後事務委任契約」を、頼む人と事前に結んでおかなければなりません。

本人が書いた遺言の執行を頼まれる場合もあります。

このように、「判断能力が低下してからの後見」「亡くなる前後の死後事務」「遺産の分配を行う死後執行」の3点セットを、元気なうちに頼み、頼まれることはしばしばあります。