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2022.03.29 更新

後見が始まったことを金融機関に届け出ると、銀行口座の名義を変更するか聞かれるかもしれません。
例えば、山田花子さんが山田太郎さんの後見人になった場合、「山田太郎」だった名義が、「山田太郎 後見人 山田花子」になるのです。

後見される太郎さんにとってはあまり良い気がしないかもしれませんが、後見する花子さんにとっては、太郎さんの口座を勝手に障っているわけではない、と主張できる点でやりやすいこともしばしばあるでしょう。

後見人が法人であれば、「山田太郎 後見人 ○○(法人名)」となります。

口座名義を「山田太郎」のままにしておきたければ、その旨銀行に伝えてください。
銀行によっては、そのままにしてくれることもあります。

保険はさほど問題ありませんが、株の取引に制限がかかることがあります。
新規の取引ができなくなることがあるからです。
後見人がついたのだから何の問題もないはずですが、証券会社は後見に対して消極的な態度を取る傾向があります。

老人ホームに入って、それまで住んでいた家が空いたとします。
売るか、貸すか、そのままにするか。
いずれにせよ、空き家の扱いも後見人の仕事になります。
売るなら売りに出す、貸すなら貸しに出す、そのまま維持するのならば管理が必要、となりますが、実際は、本人に代わって不動産屋にそれらを依頼するだけとなります。
後見人として庭の草をむしりに行く義務はありません。しかし、後見人が家族であれば、家族として草むしりや掃除には行くでしょう。

後見を頼んだ人の家族が亡くなり、相続が発生したとします。
後見人としては、本人(後見を頼んだ人)が損しないよう、法定相続分を死守することが基準になります。
例えば、夫が亡くなって、相続財産が2000万円、遺言がなく、相続人が後見を頼んだ妻と子供2名であれば、後見人は妻のために、法定相続分である1000万円を獲得します。
遺言が存在し、遺言により妻の相続分が0円となっていても、遺留分として500万円を獲得します。

また、それ以外の割合で相続する場合で、お子さんがお母さんの後見人になっていると、
いずれももらう立場になっているので、任意後見監督人がピンチヒッターとしてお母さんの代理人となり、お子さんたちと分け方を決めることになります。

後見を頼んだ人が、遺言を書くことになったとします。
任意後見の場合は、遺言を書く程度の判断能力があれば、その遺言は有効になるでしょう。念のため、遺言を書く日やその前後に、医師に「遺言する能力はある」という内容の診断書や意見書を書いてもらうとよいでしょう。

遺言は、手書きによるものでも良いし、公正証書によるものでも結構です。
しかし、後見人が、遺言する本人に代わって、遺言を書いたり、遺言内容を公証人に伝えることはできません。
後見人に「遺言を代わりにしてもらう」という依頼はできないことになっているからです。