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2022.03.14 更新

任意後見制度にせよ、法定後見制度にせよ、成年後見制度を利用する場合、成年後見制度用の診断書を使うことになります。


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資料6が、その診断書です。
この診断書は家庭裁判所のホームページから無料でダウンロードできますし、家庭裁判所へ行けば、プリントアウトしたものをくれますので、医師に診断書を書いてもらうときは、この紙を持参します。

内容について、表面から順に説明します。

1は任意後見を頼んだ人の名前、生年月日、住所を記載してもらいます。

2は医学的診断です。
診断名のところは、例えば「アルツハイマー型認知症」とかになるでしょう。
所見のところは、糖尿病があるとか、病気や症状が記載されます。
各種検査では「長谷川式認知症スケール」を使った結果の点数で記載されることが多いようです。具体的には「100−7は?」とか、知っている野菜の名前をできるだけ言ってくださいなどの質問が30個あり、22点以上だと正常とみなされます。認知症等になると18点とか10点とかになることが多いようです。

3の判断能力についての意見は以下の4つがあります。
□ 契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができる。
□ 支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することが難しい場合がある。
□ 支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない。
□ 支援を受けても、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない。
一番上のいわゆる「自立」以外であれば、任意後見を始められます。
記載はありませんが、上から二番目は法定後見制度の「補助」、三番目は「保佐」、一番下は最も重い「後見」に相当する状態を意味します。

裏面は3の続きで判定の根拠です。該当するものにチェックし、その理由を書きます。
(1) 「見当識の障害の有無」は、時間や場所がわかるかどうかという項目です。
(2) 「他人との意思疎通の障害の有無」は、コミュニケーションが取れるかどうかです。
(3) 「理解力・判断力の障害の有無」は、買い物や貯金の出し入れや家賃・公共料金の支払いができるかどうかです。この項目は本人の普段の状態をわかっている人から情報を得て、医師が記載します。
(4) 「記憶力の障害の有無」は、最近の記憶として、財布や鍵をなくさないか、数分前に話したことを覚えているかなどの短期記憶を調べます。同じく、親族の名前や生年月日や現役時代の自分の仕事など、いわゆる長期記憶についても調べます。
(5) 「その他」と「参考となる事項」とその下の「本人情報シート」は、任意後見制度や法定後見制度を始める時にはそれほど重要ではありませんが、成年後見制度を終わらせる時はとても重要になります。

最後に担当医師が所属、専門、氏名を書き、印をついて完了です。
特に精神科医である必要はありません。

この診断書は健康保険対象外なので、完全自己負担です。費用は3千円から7千円ぐらいが多いようです。
ただし、生活保護を受けている方の場合、この費用は自治体が支払います。