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2022.02.04 更新

任意後見監督人の費用はXさん(任意後見契約の委任者)の財産に比例します。

Xさんの財産が一億円を超さない場合、監督費用は月2〜8万円、年間24万円〜96万円と考えてよいでしょう。この金額も家庭裁判所が決めるので、払う方ももらう方もいくらになるのかわからないのが実情です。いくらであろうが監督費用はXさんの全額自己負担となります。

監督費用の支払い手続きは次の通りです。
監督人が家庭裁判所に金額の提示を求め、家庭裁判所が決めた金額をもとに監督人が任意後見人に請求し、任意後見人(このケースの場合お金担当のY2さん)がXさんの預貯金から監督人にお金を支払います。


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本ケースでは、任意後見契約の第3条(後見事務の範囲)をもとに「任意後見監督人の同意を要する行為」が資料1(P19)に設けられています。その内容は不動産売買などの重要事項となっています。

この意味は、「監督人が同意しないと任意後見人といえどもその取引ができない」という縛りです。この縛りが良いように働くこともありますが、監督人の同意を得られず硬直的になってしまうこともあります。ついては、将来を想起し「任意後見監督人の同意」は不要と思えば公証人に削除するよう求めると削除してくれますので、公証人にその旨伝えてください。

Xさんが甥であるY2さんに依頼した内容の3つ目は「死後事務委任契約」です。これはXさんが亡くなってからの連絡、葬儀、届け出、後片付け等になります。

具体的内容は資料1(P11)第2条にあるように、(1)病院や施設から死亡の連絡を受けること、(2)親族等へ連絡すること、(3)遺体の搬送の手続き、(4)葬儀や納骨の手配、(5)家財等の処分、(6)病院や公共料金の支払い、(7)行政機関への届け出、(8)以上に関する一切のこと、の8項目です。

これらの業務項目は、財産管理委任契約や任意後見契約にあった代理権目録に記載されていません。亡くなった人の代理という概念はないからです。
さて、3つの内容が盛り込まれた本公正証書の費用はいくらになるでしょうか?

費用は契約件数と登場人物により決まっています。
本件の場合、
財産管理委任契約は 登場人物2名(X・Y1)×1万1千円=2万2千円
任意後見契約は 登場人物3名(X・Y1・Y2)×1万1千円=3万3千円
死後事務委任契約は 登場人物2名(X・Y2)×1万1千円=2万2千円
以上合計7万7千円となります。

この費用で、足腰が弱くなってから亡くなるまでの事務を他人に依頼し、世の中がその人に応じてくれる設定ができるわけです。この金額を高いと思うか妥当と思うかは、人それぞれと言えるでしょう。