介護保険の認定作業がいよいよこの10月に始まりますが、この時期にいたってもまだ介護報酬が決まっていません。介護報酬が決まらないために、都道府県で始まった介護サービス提供事業者への提供業者への説明会の出足も予想を下回る所もあったようです。介護報酬が決まらないと介護サービスの提供者も果たして採算がとれるか見通しもつかず、積極的に参入できかねるというわけです。
また、介護報酬が決まらなければ、サービスを利用したときに支払う1割の利用料も決まりません。保険料の試算を発表しているところもありますが、実際に決まるのは3月頃になると予想されています。私たちにとって最も関心のあるこの2点が未だに決まっていないことに不安と不満がつのっていると言えるでしょう。

介護保険の大きな特徴のひとつに、厚生省で示した基準に合い都道府県が認定した指定事業者が介護サービスを行うことがあります。どの業者にサービスを頼むのか選択する時にはリストが必要ですし、情報の提供も不可欠です。現在全国レベルでインターネットでの情報提供が計画されていますが、これとともに自分でケアプランを立てる人にとっては小冊子的なものも必要でしょう。

今までの措置制度では、行政の窓口でサービスを申し込むと行政から委託を受けたサービス提供者が派遣され、担当者に不満があっても苦情を申し出ることは困難でした。しかし、介護保険導入後は契約書によりサービスの提供業者や担当者の変更が容易にできるようになります。しかし、とかく契約の概念に疎い日本において、しかも判断力や理解力が衰えつつある高齢者にとって契約書の内容を正しく理解するのは困難です。内容も簡潔で文字も大きく平易な表現の契約書であることはもちろんのこと、利用者に不利な内容でないことが大前提になります。
この事を踏まえ、自治体の中には独自で指定事業者のモデル契約書作成の検討に入ったところもあります。
介護保険導入が新たな消費者被害を生まないよう行政の配慮が望まれます。


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