サラリーマンが、永年勤続した会社を退職することは、人生の一大転機です。シニアライフを心豊かに楽しく送って頂くことをねがい、退職時に係る税金とそれに関連する注意点などについて、述べます。
サラリーマンが永年勤続して円満退職した場合、通常は課税対象所得となる退職所得を得ます。

1. 退職所得の金額
退職所得は次の算式で計算した金額に対し、税率を適用して所得税および住民税が課税されます。
 ◆退職所得の金額=(退職金収入−退職所得控除)× 1/2

2. 退職所得の範囲
課税される退職所得とは
 ◆退職手当、一時恩給
 ◆その他の退職により一時に受ける給与等々
 ◆その他国民年金法・厚生年金法や各種年金法に基づき支給される一時金等々

3. 退職所得控除額の計算
退職手当等の収入から差し引く退職所得控除額の計算は、次のように勤続年数を基準として計算します。
 <通常退職の場合>
 ◆勤続20年以下の場合=40万円×勤続年数 …(80万円より少ないときは80万円)
 ◆勤続20年超の場合=800万円+70万円×(勤続年数−20年)

4. 退職所得の課税方法
退職所得に関しては、確定申告の必要はありません。(源泉分離課税)退職手当は、永年の勤務に対する勤続報償的給与であると考えられています。また、シニアライフの生活保障的な所得であるという意味等により、担税力を考慮して他の所得と分離して、退職所得に係る所得税、住民税は源泉徴収されます。この結果、確定申告は必要ありません。ただし、そのためには「退職所得の受給に関する申告書」を退職金を支給する会社に提出しなければなりません。会社はこの申告書を受理し、所得税・住民税を源泉徴収して納付します。

5. 住民税の申告
サラリーマンが会社在職中は、大方は(他の所得がある場合等を除き)給与の所得税・住民税、社会保険料の計算や納付はすべて会社がしてしまうだけで済んでいます。しかし、退職後は自分で税金や健康保険の手続きをしなければなりません。
住民税は、前年の所得に対して今年課税されるという仕組みです。したがって、平成10年中に退職された方は、平成11年3月15日までに住民税の申告をしなければなりません。また、税金は、普通は6月から4回に分けて納付することになりますので、納税資金の準備も必要となるでしょう。

6. その他注意点
年金は待っていてはもらえない。
老齢厚生年金の給付を受ける権利は、その権利を有する人の請求に基づいて、社会保険庁が裁定することになっていますので、満60歳、65歳に達した方は、保険料支払い期間が不足していないかどうかを確認するためにも、年金の裁定手続きをご自身でとられることをお勧めします。


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