春の訪れが早かったせいか、今年は家々の庭やベランダも一足早く花が咲きました。
 園芸作業を経験した人は、植物の世話をしながら、実は自分自身が知らず知らずの間に癒されていることに気づくことがあります。農業や園芸の作業が心身の健康に良いということは古代エジプト時代から認められていたそうです。現在の園芸療法が本格的に始まったのは第二次大戦後のアメリカでした。各地のリハビリ施設や病院で心身の障害者に適用され効果が認められたのです。1970年代にはアメリカとイギリスで「園芸療法協会」が誕生しています。日本では ’93年に初めて東京で園芸療法の講演会があり、その後各地で徐々に普及が広まっていきました。’97年に福岡県園芸療法研究会が発足し、2000年には古賀市で「園芸療法ワークショップ」が開催されました。アメリカの園芸療法士や日本の推進者の、講演・実習があり、多くの古賀市民も園芸療法を学び体験しました。

“園芸療法とは”といろいろな関係者、学者が論議していますが、『園芸療法とは園芸植物を用いて、「育てる」ことを中心にした活動を通して、心身の健康回復や向上を目指すもの』といえます。園芸療法はおもに心身の障害者や高齢者のリハビリや生きがいづくりに利用されています。「園芸」は結果が大切で、きれいな花を咲かせたり、美味しい果実を実らせることが期待されます。しかし「園芸療法」は園芸活動、すなわち花や実が育つまでの手入れの過程を利用するものです。園芸作業での様々な手や足の動きがリハビリに応用できます。また園芸活動での精神面では気分転換、満足感などが得られ、植物を育てる責任感を通して生きがいにもつながります。古賀市の園芸療法はボランティア(緑のまちづくりの会)とともに、実践の場が一歩一歩広まりつつあります。今年度も「えんがわくらぶ」の活動と、グリーンパークで園芸療法の庭園づくりを楽しみながら進めていきましょう。

嶌助教授(中央女性)による種の選別 ポットに土を入れ種まき準備